風の子レラ

風の子レラこの小説は、困難な今、2021年以降をどう生き抜くかのヒントがある。

東京育ちの主人公の女の子が、自身のルーツであるアイヌの村に行き体験するアレやコレ。
死とは、自然とは、神とは、人間の存在は、どこから来てどこへ行くのか。それまで知らなかった、都会と真逆の価値観、世界観を知っていく。密度の濃ゆ~いイニシエーションの物語。

”チュプキ”とか”コタン”とか、アイヌの言葉だとは知ってましたが、意味までは知らなかった。
”カムイ”って自然のことなんですね。ラーメンの名前じゃありませんよ。

著者AKIRA氏の本は、ヒマラヤブックスの友人の影響で「Cotton100%」「アジアに落ちる」「オラ!メヒコ」を読んだ。それらはルポであったり、半ドキュメンタリーであったり、実体験が色濃い。本書も同様なのでしょうが、著者によれば、読者を限定したくないという意図で、敢えてフィクションの体裁にしたという。特に若い人に読んでもらいたいのではないかな。

栃木県日光出身の氏は画家であり、ミュージシャンで、マルチなアーティストで、米、欧、亜と世界を股にかけ、様々な表現方法で、一貫して人間の本質を追求している。その活動は僕の理想に近く、何とも自由で羨ましく、憧れる。

自分も絵を生業とし、エッセイも書き、音楽も愛してやまないが、ほぼ都心から出ていないので、アーバンなイメージの人、なんて言われてしまう。僕が追求したいソレは近代の都市の生活には見えづらい。しかしもはや都会でしか暮らすことしか出来ない。この矛盾を埋めるのが、僕の制作の動機になっている。

映像が浮かび、音が聞こえてくる文体、描写にぐいぐいと引き込まれ、最後のページを読み終えた後、僕は、未知なるこれからを恐れずに、しっかり立ち向かおう、自分の向かう方向はこっちで間違いない。と、いうすっかりHighな気分になっていた。

イラストレーター ラジカル鈴木

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